Netherlands vs Brazil

Netherlands
* FELIPE MELO (53' OG)
* Wesley SNEIJDER (68')
2:1 (0:1)
Brazil
* ROBINHO (10')
Match 57 - Quarter-finals - 02 July
・前半と後半まったく違う2ゲームを見たような気がする。
・前半オランダは何も出来なかった。オランダとブラジルの力関係は予想通りだった。攻撃は人が動かないせいで機能せず守備ラインはおたおたしている(http://d.hatena.ne.jp/Zephyrus/20100620)。一方、ブラジルはまるで1人余計にいるかのように中盤を埋め尽くす守備、速くテクニカルなカウンター。ブラジルは09-10・CL、バルサバイエルンを破り優勝したインテルそのままだった。ブラジルのオランダ・ロッベン対策はインテルバルセロナ・メッシ対策、バイエルンロッベン対策の完全な再現であると言っても過言ではない(http://d.hatena.ne.jp/Zephyrus/20100505http://d.hatena.ne.jp/Zephyrus/20100525)。前半10分、センターライン付近からメロが出したオランダCB2枚の間を通すスルーパスを、左サイドからセンターに斜めにランニングしたロビーニョがワンタッチでゴールに流し込んだ段階で誰もがブラジルの優勢を、そしてその後前半の攻防を見て誰もがブラジルの勝利を、予想したのではなかろうか?
・あえてブラジルの前半の闘いに気になる点と言えば、ロビーニョを筆頭にブラジルサイドが異様にヒートアップして苛立っているということ、そして#10を背負いブラジルの中心であるべきカカがボールになかなか絡めないということ。この点も誰しも感じたことだろうと思う。30分、ロビーニョルイス・ファビアーノ→カカと繋がったパスをカカがゴール左からゴール右上隅を巻いて狙う右足のシュート(カカの最も得意なシュートの一つ!)を放つが決まらないのを見て、これが決まっていればゲームを終わりに出来たのにと、そしてカカはやはり本調子じゃないと、世界中何億人もの人間が思ったに違いない。
・それでもブラジルが勝つとやはり何億人もの人間が思ったに違いない。しかし、前半気になったこの些細な出来事が、後半偶然としか言いようがないことをきっかけに、ブラジルのシステムを変調させてしまう。
・後半開始10分も経たない、ゲームが動く気配を感じさせながらまだどうなるか分からないという、何とも落ち着かない時間帯。右サイドに流れていたスナイデルに対するプレスを、あえて言えばブラジル守備の弱点である(http://d.hatena.ne.jp/Zephyrus/20100622)左 SBバストスが瞬間怠る。フリーの状態で打ったスナイデルのややアーリー気味のクロスは正確無比に、ボールを追って背走するボランチ・メロとGKジュリオ・セザールの間へ。二人は交錯し、ボールはメロの頭にわずかに触れてゴール。これが53分。
・しかし、まだゲームは振り出しに戻っただけなのだから、ここからブラジルは落ち着いてゲームを再開すれば良かった。しかし、これができない。それは恐らく、彼らが異様にヒートアップしていたからなのだろう。そして、本来であればクールにチームメイトを落ち着かせるはずのカカの影がチーム内でどこか薄かったからなのだろう(そういえば、カカはこの大会、イエローが異様に多く、レッドまで出されている。カカも自身のパフォーマンスに苛立っていたのだろう)。オランダが特別な仕掛けをしたとも思えないのに、ワンテンポ、プレスが遅れ始め前半まったくなかったスペースが滲み出すように現れてくる。人が少ないように見えてくる。不思議なことだ。こうして結果的にオランダの攻撃が活性化し、68分、コーナーからスナイデルが追加点。そして、その5分後の73分、メロがロッベンを踏みつけてレッド。これで実質的にゲームは終わってしまった。

・このゲームを決めたのは表面的には絶好調のスナイデルと不調のカカのパフォーマンスの違いと言えるかもしれないが、それ以上にブラジルがメンタリティのコントロールをできなかったことだったように思われる。このWC、メンタリティのコントロールに失敗して多くのチームが消えていったが、まさかブラジルまでそうなろうとは思ってもいなかった。
・オランダは決勝に進出するだろう。