2012-01-01から1年間の記事一覧

リンチ『エスノメソドロジーと科学実践の社会学』コメント6

2 会話分析について(続々)3.会話分析への疑問リンチが会話分析に対して言いたいのは、「固有妥当性要請を無視して、‘科学的活動の'日常的基礎を記述できるはずはなかろう」ということなのだと思う。リンチの語る固有妥当性要求の主張は、会話分析のオーソド…

リンチ『エスノメソドロジーと科学実践の社会学』コメント5

2 会話分析について(続) 2;固有妥当性要請 このリンチの論点は結局のところ、会話分析においては、記述/説明は対象となる実践と内的関係にあるということの把握が甘い、簡単に言えば、ガーフィンケルが言っていた「固有妥当性要請」が欠けている、と言い換え…

リンチ『エスノメソドロジーと科学実践の社会学』コメント4

2 会話分析について 1;基本的確認 リンチの会話分析批判ははっきり言ってよく分からない。最初の内は、会話分析の全面的批判のように威勢よく始まりながら、だんだんトーンダウンしていって、結局次のような記述を読む羽目になる。 p297 エスノメソドロジー…

リンチ『エスノメソドロジーと科学実践の社会学』コメント3

1 シュッツ、あるいはプロトEMについて(続々) 3;認知主義 では、シュッツはいかに間違えたのか?(いかにその教えは覆されたのか?)リンチが見るところ、それは、彼がカウフマンに由来する認知主義的な(表象主義的な、解釈主義的な)科学観を持っていたから。…

リンチ『エスノメソドロジーと科学実践の社会学』コメント2

1 シュッツ、あるいはプロトEMについて(続) 2;シュッツとプロトEM本書中盤の構成は;4章でプロトEM論(=シュッツ論)を、デリダのディコンストラクションの発想をベースに展開。で、ディコンストラクション以後どうするか?という問題に、5章でウィトゲンシュタ…

リンチ『エスノメソドロジーと科学実践の社会学』コメント1

(以下、札幌で言ったことの大雑把なまとめ。)1 シュッツ、あるいはプロトEMについて 1;基本的確認 リンチは非懐疑主義的ウィトゲンシュタインとの連携で有名だが、この本の中で改めて気になったのはポスト構造主義、特にデリダに対するそのシンパシーの表明…

死亡宣告

(色々事情が重なってお休みしてましたが、どうにか復活しました。)『エスノメソドロジーと科学実践の社会学』出版おめでとうございます。ですが、出版数日にして、大御所から死亡宣告が出てしまいましたね。お悔やみ申し上げます。 *それにしても、私をデ…