6月25日 ポルトガルvsオランダ


1−0。激闘!両チームで、イエローカード10数枚、レッドカード4枚。最初から両チームとも気合い入りまくり。ゲーム序盤に、挨拶代わりに削られて負傷交代したクリスティアーノ・ロナウドはベンチでマジ泣き。気の抜けたイングランドエクアドルとえらい違い。ゲーム最終盤、ともに退場となったポルトガルのデコとオランダのファン・ブロンクホルストバルサ・チームメートが場外で肩を並べて話し込んでいるのには笑えたが、ポルトガルは勝利したとはいえ次戦のイングランド戦でゲームメーカーのデコとボランチコスティーニャを欠いて、しかも場合によっては負傷のロナウドも欠いて戦うことになる。勝ったのはいいがダメージが大きすぎ。(うーん、イングランドは悪運が強い。)

ゲームはまずオランダがペースをつかむが、ポルトガルもすぐに順応して素早いパス回しとチェックで両チームとも譲らず、若干オランダのボール支配率が高いとはいえ、まったく互角。勝敗はほんの少しオランダに運がなかったこと(コクーのシュートが決まっていればとオランダファンは思っただろう)と、そしてDFの出来で決まった。スピード命のロッベンとマッチアップした右サイドバック、ミゲルは、そのスピードでまったく引けを取らず、ロッベンにまったく仕事をさせなかったし(今やDFにもスピードと敏捷性が要求されるということがよく分かる)、他のポルトガルDFも(人数が一人少ない時間帯も含めて)最後まで集中力を維持していた。これに対して、オランダのDFは前半20分過ぎの失点シーンでほんの一瞬だが気が抜けた、というより、‘オランダらしさ’を見せてしまった。

オランダの失点シーン、ポルトガルはデコの右からのクロスをパウレタが後ろ向きに落としたところに2列目からマニシェが飛び込んで、瞬間的に目の前にいたDFを右にかわす。ここで前があき、シュートが間違いなく打たれる状況となるが、まだオランダのDFはマニシェのすぐ左前にオーイエル、若干離れた右前にマタイセン。これがイングランドのテリー、イタリアのカンナバーロとかであればその瞬間脊髄反射的にマニシェの足下へ体全体を投げ出すようなスライディングタックルに行こうとすると思うのだが、直近のオーイエルはスライディングに行かない。オーイエルはマニシェの足下に足を伸ばすだけである。他方、右のマタイセンは反応できずに立ちつくしているとも言えるが、見方によればマニシェがオーイエルの足をかわして右に出るのに備えているようにも見える。つまり、二人のDFの行動、ポジショニングはまるで二人のMFが相手ボールを奪おうとプレスをかけているかのようなのだ。ごらぁっ、ゴール前のこの状況でプレスもへったくれもないだろうがっ!とファン・バステンならずとも叫びたくなる。実際マニシェは特別なフェイントもかけずそのまま真っ正直にシュートを打ち、そのボールはオーイエルの伸ばした足の上を通過してゴール、である。

オランダのフットボールは伝統的に(とりわけ攻撃の)美しさを最高の原理としている(クライフ的伝統!)が、この伝統と、瞬間的に泥臭いスライディングに行けなかった(ゴール前でも思わずプレスをかけようとしてしまったように見える)DFの淡泊さとは無縁でないように思われた。

負けたけど、個人的にはオランダ・フットボール、大好きです。