6月25日 イタリアvsオーストラリア

1−0。イタリア薄氷の勝利。

前半、スローな立ち上がり。イタリアはセンターラインから自陣10mあたりを防御線に設定、オーストラリアのぬるいパス回しをそこで奪うとカウンター気味に一気に前線にボールを供給してチャンスを作るというイタリア伝統の戦術。見る分にはあまり面白くない(し、いらいらする)が確実に勝つ戦術ではある。ガーナ戦で見せたように、その気になればセンターライン前でもプレスに行くイタリアだが、この戦術はトッティが先発しなかった(不調?ケガ?代わりにデル・ピエロが先発)せいと、(昼間のゲームの)暑さ対策といったところだろうか?それともオーストラリアがアメリカと似たフィジカル重視のチームカラーなので、ガチンコ体力勝負して失敗したアメリカ戦の二の舞を避けようとしたためといったところだろうか?いずれにせよ、ボールの支配率こそオーストラリアが若干上回るが、この試合展開は完全にイタリアのもの。だが、誤算はFWのトーニとジラルディーノの決定力不足。恐らく前半だけで5、6回は決定的な場面があったが、これを決めきれない。ここで1点でも決めておけば試合は完全にリッピの思惑通りになっていただろうに。

後半から、リッピは不調の(としか言いようがない)ジラルディーノに代えてイアキンタを投入。これは前半の展開からまったく妥当な交代。しかし、さらに大誤算は、その直後DFマテラッツイがドリブルするブレシアーノを倒して一発退場!となったこと。これで、この試合のイタリアのチーム戦術は完全に狂ってしまう。数分ゲームを見た後、リッピはFWトーニに代えてDFを投入。さすがにFW一人ではカウンターをねらうこともできず、オーストラリアの攻撃を耐えるだけといった状態が続くことに。(しかし、ここでのイタリアのような意思統一された守備ができれば日本はむざむざオーストラリアごときに負けなかったのにと思ったのは私だけだろうか?イタリアは最終ライン4人中盤4人が巧みに連係してオーストラリアの攻撃をブロック!なんでこういうことができないかなあ?)しかし、リッピは計っていたようにまさに残り15分というところでトッティを投入!これが大きな効果をもたらす。トッティは中盤前目に位置して守備をするとともに、絶妙のパスを供給して攻撃の起点に。そして、ロスタイムもなくなろうというとき、左からスクエアに切れ込んだDFグロッソがオーストラリアペナルティエリア内で倒されてPK!これをトッティが決め、その直後に試合は終了。

イタリアの勝利は何よりリッピの采配による。リッピはまったく的確な人材を的確な時間帯に投入した。これに対して今回、ヒディンクは先手を打つような選手交代をしなかった。終盤アロイージケネディを入れてパワープレイに来るかとも思ったのだが、なぜかアロイージを投入しただけ。トッティが入ったことでカウンターの可能性が高まり完全なパワープレイに行くことを躊躇ったのだろうか?だとすれば、ますますリッピの采配が効いたことになるが、いずれにせよ、限界的状況ではベンチワークがものをいうということを見せつけられた、教訓的ゲームだった。

しかし、トッティがいるといないでイタリアは大違い。FWの不調もトッティ不在の影響が大きいのではないか?

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この試合は、日本がオーストラリアと戦うときに取るべきだった戦術がたくさん詰まっている。

1無闇にフィジカルの戦いに持ち込まない。日本はもろにオーストラリアとフィジカルの戦いをして試合終了間際にはまったく走れない状態になってしまった。別にフットボールはガタイでするのではないということをもっと明確に意識するべきだった。

2(1をふまえて)やはり交代を有効に使うべきだった。前線、中盤、最終ラインにそれぞれ後半交代選手を投入することを計画しておくべきだった。

3(1をふまえて)きっちりと守備を整えて、カウンターを意識した戦いをするべきだった。守備の時間と攻撃の時間をはっきり区別して、守るときは中盤から下がみな引いて守るべきだった。

4(3をふまえて)中盤のパス回しに拘らず、ボール離れを早くして前線へなるべく早くボールを供給することを意識するべきだった。

リッピはオーストラリアの日本戦を研究してオーストラリア攻略の戦術を立てたのではないか?と思わず考えてしまうほど今回のイタリアの戦術は日本が取るべき戦術であったように思う。イタリアのユニフォームは日本と同じブルー。ゲームを見ていて、日本はこうすれば良かったんだとリッピに言われている気がした。