プライスコレクション 若冲と江戸絵画展

東京国立博物館まで車で行く。日曜でしかもお盆なので都心の道路は閑散としているだろうという予想通り、中村橋から上野までなんとわずか30分!しかし、上野公園周辺の駐車場の大混雑は予想外だった。待つこと30分以上。結局、1時半に家を出て博物館内に入ったのは3時過ぎ。やれやれ。

で、博物館内。このコレクションにあわせて教育TV「新日曜美術館」で特集番組は流すわ、雑誌「ブルータス」は若冲の特集は組むわ・・・してくれたおかげで(私はそのどれも見ていないが)、普段は美術館になぞ来ないような人たちで一杯。なにしろ7月中に開催3週間ほどで10万人突破とかHPに書いてあったので予想してはいたのだが・・・。まあ、人だかりがしてたのが若冲の絵の前だけだったのは不幸中の幸い。若冲以外にも有名作家――プライスお気に入りの歌川国貞とか酒井抱一とか鈴木其一とか――の絵がいっぱいあったのに、そちらは人があまりいなかった。何しに来たんだか。ま、私も美術に関してはまったくのド素人なんで他人のことは何も言えないが・・・。

そんなこんなで見た若冲・・・。何よりも感じたのは若冲に限らないが、江戸の作家たちのデザイン・センスの秀逸さ。若冲が極度に細密とは知っていたが、実物を見るとその細密さは繊細とは無縁ということがすぐ分かる。それはむしろ強烈な力強さを湛えている。かつて、ウィーン美術史美術館のピーテル・ブリューゲルバベルの塔」がやはり上野に来たとき見て、その細密さと存在感(神々しさ)に圧倒された記憶があるが、力強いという感じはしなかった。若冲の絵には強烈な力強さがある。極彩色だからというのもあるとは思うが、それだけではない。しょせん素人の直観なのだが、若冲の力強さはある種のデフォルメ/デザイン化によっているのだと思う。形も色も単なる写実を超えている(あるいは写実を超えることにより生々しくなるというか)。実際、若冲はかなりデザイン化された鷹、鶴なども描いているのだが、これが非常に秀逸。単なる写実の人ではない。‘写実+デザイン性’の融合――これが若冲なんだろうと分かったことで、まあ行った甲斐はあったということにしよう。http://f.hatena.ne.jp/jakuchu/?of=0

それにしても、500点もの国宝級のコレクションを私蔵するプライスって何者なんだろうか?アメリカの金持ちは計り知れない。http://www.shinenkan.com/index.html