最近のフットボールあれこれ

1;イングランド・プレミアリーグ
アーセナルの優勝に賭けていたのに・・・。2月末のバーミンガム戦でのエドゥアルドの骨折で勢いが完全に止まってしまった。あの瞬間、セスク他、チーム内に動揺がアリアリだった。しかも、勝てていればトラウマも小さかったかもしれないのが、勝てるはずの試合を最後クリシーのミスで落としてしまった。ギャラスが呆然としたのも分かる気がする。
プレミアリーグはフィジカルが激しいのが有名だが、ひどすぎる。こんなリーグ他にはない。イングランドフットボールの弱体化が進んでいる理由に、有力チームにイングランド人がいないということが言われるが、その他に、プレミアリーグ特有のこのフィジカル重視があるような気がしてしょうがない。こんなつぶし合いのフットボールばかりしていれば、絶対、つぶす能力重視、ロングボール重視、パスワーク軽視、連携軽視、テクニック軽視、インテリジェンス軽視のプレイヤーばっかりが育ってくるに決まっている。プレミアのビッグフォーはあえて言えばこの真逆で上位にいるわけだが、そこにはほとんどイングランド人がいないというのも興味深い。イングランドフットボール強化には、まずプレミアリーグの審判改革から始めるべきだと思ってしまう。
・現在首位はマンUマンUはあまり好きではないのだが、見ているとプレミア最強であることはよく分かる。アーセナルは細かい技術ではマンUより上だろうが、選手の層が薄く、若すぎる。チェルシーモウリーニョがいなくなって、上手い個人の寄せ集めチームになってしまった。モウリーニョの左右の高速ウィンガー(ロッベン、J・コール、ショーン・ライト・フィリップス)を徹底的に走らせる、スピード感あるフットボールは本当に面白かったが、今のチームには特別魅力を感じない(ただしチェルシーTシャツは一杯持っている)。リヴァプはトーレス加入でやっと念願の決定力あるフォワードを手に入れたが、やっぱりチームで見ると安定したパフォーマンスを発揮できない気分屋さん。
マンUでのパク・チソンの位置が微妙で出場するといつもはらはらしながら見ている。パクは無論マンUのベストイレヴンには入っていないから、大切なゲームにはまずベンチ入りもしない。プレミア下位チームとの試合に先発出場することが多い。出ても、チームメートはパクにはほとんどパスを出さない。パクはロナウドは無論、ギグススコールズ、ナニのようにテクニックがあるわけではないから、というか、マンUの中ではテクニックはないに等しいから、ボールを前に運ぶことはまったく期待されていない。つまり、パクがライトかレフトのサイドハーフで先発すると、攻撃は反対サイドのロナウドだけになる。これで敵チームを撃破できればよい。しかし、点が入れられず膠着状態が続くと後半15分頃、パクに変わってギグス、場合によってはナニが投入される。左右のウィンガーのチーム内序列がロナウド/ギグス→ナニ→パクであるのはミエミエ。パクに期待されているのは、何しろ動き回ってスペースを埋める、スペースを作ることだけ。無論、これはこれで大切だけど、パクは運動量、スピードでもチーム内で目立つ存在ではないどころか最下位のレベル。なかなかチーム内でつらいのではないだろうか。イングランドメディアによるとパクはマンUの対東アジア宣伝要員だそうだから(オールドトラフォードの電光広告板には日本語、韓国語、中国語が大量に流れる)、ファーガソンにとってはおミソ扱いでパクを使っていればOKなんだろうけど、プレイヤーとしてパクはこれで満足なのかと思わざるを得ない。パクがマンU入りする際、当時PSV監督のヒディンクはこれに反対して「マンUに行けばサブメンバーになってしまう」と言っていたが、今の状態はヒディングの言った通り。「鶏口となるも・・・」という言葉が思い浮かぶ。PSV時代はチームの中心でいられたのに・・・。でもマンUの方が名誉は付いてくるし、いいんだろう。牛後でも牛が世界のマンU様。それにしても、ファーガソンとしては絶対もう一枚ウィンガーが欲しいだろうとは思う。ロナウドはデフォルトで絶対的な先発メンバー。ギグスは酷使に耐えないから、ナニが故障すると、パクしかいない(チャンピオンズリーグ対ローマ戦はまさにこの状況)というのはファーガソンとしては不安でしかないだろう。ロナウドの故障の可能性だってある。リヨンのベンゼマトゥラランとか欲しがってるみたいだけど、FWベンゼマはともかくMFトゥラランに関しては本音だと思う。新しいMFが来たらパクはどうなるんだろう?パクは宣伝要員で今以上の飼い殺しの可能性が高い。はらはらはまだ続く。
・実はもう一人はらはらしながら見ていたのは、リヴァプの左ウィンガーのキューエル。昨年秋ぐらいまでは先発していたが、まったく走れず、攻撃できず、守備もできない状態だった。あまりに緩慢なプレーばかりなので、なんでベニテスは使い続けるんだろうと思っていたのだが、案の定12月頃からバベルにポジションを取られ、ベンチ入りもしなくなってしまった。数年に及ぶ長期故障にも関わらず解雇されることもなく、しかもあんなプレーにも関わらず数ヶ月先発出場できたこと自体不思議だが、何か持ってたんだろうか?いずれにせよ、キューエル、もう引退しろよ。オーストラリアに帰って、ヤングリーズの思い出を胸に、元モデルの奥さんと仲良く老後を過ごすのもいいぞ(?)。(しかし、ヤングリーズでその後成功したのがファーディナンドだけというのも、リーズUが破産後現在3部リーグ(League One)というのも泣かせる話だ。)

2;日本代表
・対バーレーン戦。途中で見るのを止めた。日本のサッカーを見ていると時々悲しくてフットボールファンを止めたくなる時があるが、この試合はまさにそういう代物だった。立ったままでする新しいボールゲームかと思った。現代版の蹴鞠みたいな。日本の選手はとりあえず走って問題を打開するということができないのだろう。問題があると立ち尽くしてしまうのだろう。思わず「国民性が定住農耕民族だから」とかウェーバーが激怒しそうな素朴な水準の説明をしたくなってしまう。選手の責任もあるが、この事態を予測できない、打開できない監督の責任ははるかに大きい。「世界を驚かす」とか言ってたあの人。ほんとに驚かせてもらったよ。とりあえず親善試合とは言えスイスに勝ったチームを、どうすれば短期間にここまでダメダメチームに出来るのだろう?って。ほんと驚く。才能ありすぎ。
・それで、試合後これからは「オレ流でヤル」とか言って、どんなことやるのかと思ったら、とりあえず3バックでゾーンディフェンスだ、って。ゾーンって難しいんだよ。クラブチームみたいに延々と練習できるんならいいけどさ、代表で出来るの?それに、3バック?今時、どこに3バックやってるとこあるの?まあ、農耕定住民族だからな、運動能力が要求される4バックより3バックの方がいいのかもしれないな。マリノス時代と同じく、3バックで守りを固めてロングボールか・・・。また世界が驚いちゃうよ。日本には世界遺産のようなサッカーが残っていた!って。