NETHERLANDS vs FRANCE (EURO2008)

Group C - 13 June 2008 - Bern - Stade de Suisse

NETHERLANDS
 Kuyt 9, Van Persie 59, Robben 72, Sneijder 90+2
4-1
FRANCE
 Henry 71

歴史的なゲームだと思う。フランスがこれほどの屈辱的大敗を喫するのは記憶にない。

1失点の前半はまだよかった。後半がひどい。得点を取りに行って前がかりになったところにカウンターを打たれ、あれよあれよという間に3失点。しかもその失点の仕方が絶望的なもの。

2点目は、ファン・ニステルロイのマルセイユ・ルーレットによるパスを受け、左サイドを突破したロッベンの高速のセンタリングに全速で走り込んだファン・ペルシーがダイレクトに合わせたもの。まるで、1974年のクライフのゴールを現代に甦らせるかのようなこのゴールは、クライフのゴールが‘Flying Dutchman’の伝説となったように、高速で流れるように進行した一連の動作の圧倒的な美しさによって伝説となるに違いない。

3点目は、フランスの唯一の得点のわずか1分後、スナイデルのスルーパスに反応したロッベンが対面するテュラムを左に外した瞬間に打ったシュートによるもの。テュラム(36歳!)のミスと言えばミスだが、テュラムとしては対面したロッベンの位置がもうゴールライン際だったので、まさか自分のゴールライン側(右側)を抜かれるとは思っていなかったのだろう。決まった瞬間、当のロッベンが「入っちゃったよぉ、驚き!」という顔をしていたが、それほど唖然、呆然ものの得点だった。

4点目は、すでにロスタイムに入ってあと1分で試合終了というところで、バイタルエリアに侵入したスナイデルがフランスCBを軽くかわして(と見えるところが凄いのだが)放った弾丸ミドルシュートによるもの。フランスは個人技にCBがまるで対応できず真正面から打ち抜かれて失点、である。CBには屈辱ものだろう。

それにしても、オランダの前線、CF;ファン・ニステルロイはともかく、右ウィンガー;ファン・ペルシー、CH;スナイデル、左ウィンガー;ロッベンのプレーの速度と精度は凄まじい(ファン・ニステルロイ以外は全員20代前半!)。フランスDFとは、プレーを構成する速度、精度の概念が違いすぎる。そのためイメージされているプレーが根本的に違っているのだ。2000年前後世界No1だったフランスがその栄光を忘れられずジダンと共に8年ほど立ち止まっている間に、世界トップの速度、精度の概念は大幅に変化してしまったのだろう。

オランダといえば伝統的に4-3-3。だが、この試合は4-2-3-1(一時的には4-1-4-1のようにもなった)で、3-1がなにしろ自由に動く。特に3の真ん中入った前半のファン・デル・ファールトもそうだが、後半のスナイデルなどもう縦横無尽に動く。スペインリーグは見てないので、スナイデルはたまに断片的な映像を見ることはあってもちゃんと見たことがなかった。しかし、今回、とりわけ後半の展開を見て、オランダが4-3-3を放棄して4-2-3-1を採用したわけがわかったような気がした。ファン・デル・ファールト、とりわけスナイデルがこのシステムを望んだのだろう、と。スナイデルはトップ下とウィンガーとボランチを兼ね備えたような能力を持っている(ジェラードを小柄にしてさらに速度をつけた感じと言ったところか、と見ていて思った)。つくづくシステムはまず人あってのものだということがよく分かる。

強力なアタッカーを持つオランダだが、問題はいつも言われるように守備。歴史的に、オランダは超一流のアタッカーを輩出するのに、ディフェンダーは超一流とは言い難い。まったく面白い国だ。オランダが優勝できるかどうかは守備次第ですね。





*EUROは全試合みたい。が、見られない。我が家は相変わらずアナログTVだから。WOWWOWの新規加入はデジタルのみである。一月ほど前、もう世の中デジタルがデファクトスタンダードなのだと知って衝撃を受けた。哀しい。