ボルトンvsマンチェスターutd

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多くの観客はこのゲームを見て、ルーニー、パクの不在の存在を感じたことと思う。今シーズン、マンUの前線には空間の凝縮感がある。つまり、先の対チェルシー戦などはその典型だが、スペースを埋めるためにプレイヤーがとてつもないハードワークをしているという印象がある。だが、その印象は主要にルーニーとパクによっているということが、この試合を見てはっきりした。この試合、マンUは、ルーニーが負傷、パクが休養でスタメンから外れ、ベルバトフテベスロナウドが前線を構成する珍しい布陣だったが、二人がいないマンUの前線はスカスカだった。

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ロナウドルーニーテベスの3人が作り出す、昨年のマンUの攻撃は非常に完成度が高かった。だが、攻撃専従、守備は基本的にしないロナウドと同じタイプのベルバトフが入ってこのフォーメーションが今シーズンは崩れる。

ファーガソンがなぜこれほど(ほぼスタメンを約束したような形で)ベルバトフを重用するのかは全然分からない。テベスが昨シーズン、ロナウドルーニーほどでないにせよ、どれほど貴重な得点を挙げてきたのかを知っていれば、そしてベルバトフが明らかにロナウドと同タイプのプレイヤーであることからすれば、ベルバトフが優れたプレイヤーであるとしてもテベスに対して圧倒的に優れているとも思えないことからすれば、なぜテベスからベルバトフに攻撃陣の一角をこれほどあからさまにシフトするのか分からない。

その理由はよく分からないが、ベルバトフがスタメンに定着することで、俄然キープレイヤーになったのがパク。何しろ今や前線には‘攻撃専従、ハードワークはしません’というプレイヤーが2人。この2人の運動量を補ってスペースを埋め、この2人に代わって守備をする人間が絶対必要である。今季ベルバトフがスタメンに定着したことと、パクがスタメンに定着したのは表裏の関係にあるに違いない。(ロナウドの縮小コピーのようなナニがまったくゲームに出られないのも同じ理由だろう。)今シーズンのパクの運動量は尋常ではない(90分動き続けられるスタミナはどこから来るのだろう?)。昨年末マンUが来日した時、ファーガソンはパクのことを「お気に入り」と形容していたが、その理由がよくわかる。人間、何があるかわからないものだ。

ちなみに、多くのゲームをチェックしていると、ベルバトフは(これまでマンUパスネットワークから疎外されてきた)パクに非常によくパスを出していると気づく。別に数えたわけではないが、今シーズン、パクが誰からパスを受けているかその数をカウントしたら、ベルバトフがNo.1ではないか。ベルバトフは恐らく自分の存在がパクに依存していることを知っているのだろう。ベルバトフがパクにパスを出す度に、私には、それがパクに対するベルバトフの感謝の印のように見える。

http://d.hatena.ne.jp/Zephyrus/20080504/1209911587