Liverpool vs Manchester United

Sunday October 25 Anfield 
2 - 0
Torres 65’, N'Gog 90’

面白かった。もうすでに四敗していて、ここで負けるとシーズンが終わってしまうリヴァプには「絶対負けられない闘い」といったところだったろう。特に1-0 でリヴァプがリードする最終盤、ベニテスはMFベナユンに代えてDFスクルテルを投入して異例の5バック。「何があっても守り切って勝つんだぁ!」というベニテスの檄を飛ばすかのような采配にアンフィールド大興奮。でも、投入されたスクルテルがミスを連発、「5バックで逆にバランス崩れてんじゃん、大丈夫かよ、逃げ切れるかぁ?」とますます大興奮。久しぶりになかなかエキサイティングなゲームだった。


面白かったが、このゲーム、内容的にはもう一つという感じもした。

基本的にはマンUがボールをキープしてリヴァプがカンターをかけるというゲーム。リヴァプは今シーズン不調だが、こういうゲームの時リヴァプは生き生きして見える。リヴァプは堅い守備に加えて、球足が速いロングパスと走力を生かして空間をダイナミックに構成する攻撃が持ち味。退いて守るチームを細かいパスワークで崩すなんて真似は苦手だが、相手チームがボールをキープして前がかりになっていると、自らの攻撃能力を全面的に発揮できる。リヴァプが思わぬところで弱小チームに勝ちきれずなかなかプレミアを制覇できないのに、チャンピオンズリーグでは優勝できたりするのはこのせいだろう。今シーズンの不調はシャビアロンソが抜け、昨シーズン末ほぼ完成の域にあった守備の連携、攻撃のダイナミズムが崩れているからで、この試合の出来も昨シーズン規準からすればまだ随分低く見えた(ジェラードに代わってこの試合CHに入ったベナユンはその巧さが光ったが、「リヴァプらしい」ダイナミズムを発揮できるプレイヤーではない)。この勝ちをきっかけに本来の「リヴァプ‘道'」を取り戻して欲しい。

今シーズンどうもしっくりしないのはマンUも同じ。このゲームでもマンUは何か物足りない印象が残る(これは負けたからそう見えるというものではない)。ボールをキープし、果敢にまた華麗なテクニックで攻撃(ベルバトフの浮き球のコントロールなど本当に上手いと思う)を仕掛けてはいるが、結局決定的なシュートは終了10分前ほどにバレンシアが放ったバーを叩くシュート一本だけ。守備でもプレスが甘く一歩足が出ないと感じる場面が目立った。マンUロナウドが抜けて、チームの再編期を向かえているのだろう。そのスローガンは、ロナウドを軸にその周辺をルーニー、パクが走り回って空間を作る、あるいは空間を潰すというロナウド絶対王政から、ルーニーベルバトフバレンシアギグス、ナニらを加えた共和制へ!、といったところだろうか。このマンUの共和制はまだ上手く機能していない。マンUも模索中なのだろう。まあ、それでもそれなりに大した取りこぼしもなく勝ってしまって一応プレミア首位(チェルシーと並んで)であるのは、ファーガソンの手腕の成せる技か。それにしても、マンUのこの革命劇の中で、ロナウドを攻撃専従とするための守備専従員として貢献してきたパクはあっさりと断頭台の露と消えてしまった(まったくゲームに出られなくなった)。パクがケガをしたとも聞かないし、これはコンディションの問題ではないだろう。王の追放によってその補佐官が不要になったのだ。昨シーズンのテベス切りの時にも感じたが、ファーガソンはつくづく冷徹だ。ベンチ入りすらできないパクの心中を思うとちょっと同情する。



レッドカードのビディッチは、これで対リヴァプ戦三戦連続レッド。もう恒例行事。笑える。(でも、この試合のレフリングは頂けない。マスケラーノもレッドで退場になったし、後味が少し悪い。ま、それもリヴァプ-マンU戦のお約束か。)

アンフィールドにまた行きたいなぁ。