インテル優勝

UEFA Champions League

Final - 22/05/2010 - 20:45CET ( 20:45 ) - Santiago Bernabéu - Madrid

Bayern vs Internazionale

0 - 2 Milito 35', 70'

あまりにも予想通りで驚きがなかった。バルサに勝ったインテルに、バルサの70%(B4→B5)縮小劣化コピーみたいなバイエルンが勝てるはずがない。モウリーニョはオランダ人(バルサも言うまでもなくその基本はオランダ人)をよく知っている。

あえて興味深かった点と言えば、モウリーニョが左SBにサネッティではなくキヴゥを置き、サネッティボランチに置いたこと。左SBは(リベリのいないバイエルンで唯一脅威となりうる)ロッベンとマッチアップする。その左SBにキヴゥ?、これはどういうことだ?、とゲームを見ていた。

インテルは一応4-3-3だが、最前線のウィンガー(このゲームでは左パンデフ、右エトー)が場合によっては最終ラインにも入って守備をする。現代フットボールでSBの最前線への攻撃参加は当然だが、インテルの場合、その上に、変な表現だが「FWの最終ラインへの守備参加」が平然となされてしまう。インテルにおいてハードな守備を免除されているのは、CFのミリートとトップ下のスナイデルだけ。この二人の至上命題はいざというときに走れることである。一見するとインテルは静かな守備のチームに見える。しかし、このチームの静けさは、とてつもない運動量、とてつもない流動性、とてつもない強度に支えられているわけだ。

で、問題のキヴゥ。インテルは基本守備のチームなのでタックルとかしまくってるのかというと、そんなことはない。ルシオとかサミュエルとか顔だけ見てると、「オレはガンガン行くぜ」みたいな武闘派オヤジ顔をしてるが、実際はぜんぜんそんなことはない。プレミアリーグのチームみたいに「とりあえずタックル行っとけ」なんてまったくない。「そんなの頭の悪い証拠」と言わんばかりに、インテルDFは不必要なタックルをしない。だが、ゲームを見ていると、キヴゥだけはやたらタックルをする。実際、キヴゥはインテルの中でただ一人イエローカードを受け、ファウルは最多の4回。つまり、キヴゥは1枚目のタックル要員、いわば「削り役」だったわけだ。キヴゥがまず滑った後に、 2枚目、3枚目のDFがボールを奪う・・・こういう約束が出来ている。「FWの守備参加」が普通になされるチームであれば、SBに「削り役」を置くのは何の問題もなく、むしろドリブラー(ロッベン)を押さえ込む有効な一手段というわけだ。なるほど。




おまけ
日本vs韓国(24日)
0-2

開始10分ほどでTVをつけたら、もう1点入れられていた。はぁ・・・。脱力感を感じつつ一応見たが、これは何ですか? 連動性が皆無です。長友とか長谷部とか瞬間才能を感じる場面もあったが、どう見てもチームに「約束事」があるように見えない。ボールを中心に半径5〜7mくらいのプレイヤーがとりあえず、勝手に動くだけ(としか見えない)。個の技術が期待できないのはしょうがないとしても(それは日本の場合、前提)、コンビネーションもない(あるいはその意志が見えない)、って・・・それはフットボールと言えるのですか? 「ハエのように・・・」の比喩、その心は・・・「ハエのように勝手に動く」なんちゃって。あはは・・・はぁ? 特に守備に約束事がない。日本の守備を見ていて驚くのは、そこに組織があるようにまったく見えないことだ。すかすかである。攻撃はセンスの部分があるが、守備は徹底的に組織だろうに。約束がしっかりしていないからロングボール一発、裏への飛び出し一発で得点されてしまう。あ〜あ、見終わってなおさら脱力した。

(この試合が4月くらいになされていれば、一気に主軸メンバーを入れ替える、はっきり言えば(体がもう動かない老人に見えた)中村を主軸から外す口実になったかもしれないが、もうそれも無理。まったくいまさら進退伺いとか出すくらいなら、今年の2月の段階で自分から辞めると言えばよかったものを。)

しかし大きなお世話だろうが、韓国も日本と似たようなものだった。2点差がついたせいか、マスコミでは韓国の方がはるかに上手かったという情報が流れているが、そんなことはない。フットボールのレベルは日本とどっこいどっこいだ。ただ、韓国はWCでは守勢になるのを前提にコンパクトで球離れのよい、カウンター狙いのチーム作りをしており(少なくとも私にはそう見えた)、このコンセプトにおいてコンセプトがまったく見えない日本よりは勝っていたという程度の差だ(日本は本当に何をやりたいんだろうか?、WCでもポゼッションできると考えているんだろうか?、「前半闇雲に走って後半疲れて動けません」を繰り返すのだろうか?)。しかし、コンセプトで(コンセプトのない)日本には勝てても、このタレント、このレベルのフットボールではB組の他三国――腐っても(=マラドーナが支離滅裂やっても)明石の鯛で優勝候補のアルゼンチン、伝統的に組織的守備は出来ないがそれを補う運動量を誇るナイジェリア、攻撃はともかく守備には拘りのある(カウンター狙いという点で韓国とかぶり、かつどうみても韓国の攻撃陣が崩せそうもない)ギリシャ――いずれにも勝てないだろう。勝ち点はよくてギリシャに引き分けの「1」がMy予想(もちろん日本は予想勝ち点「0」ですけど)。アジアのサッカーは世界から取り残されているように見える。