Spain vs Switzerland

Spain
0:1 (0:0)
Switzerland
* Gelson FERNANDES (52')
Match 16 - Group H - 16 June
こういうこともある、としか言えない。すべてのプレイヤーがワールドクラスとも言えるスペインはわずか数分でゲームを制圧。この状態が終了まで続く。にも関わらず、スペインは負けた。

スペイン失点シーンは、スイスGKのフィードをブスケツが後方に逸らすところから始まる(ので、TVはスペイン失点後、ブスケツをクローズアップしていた)。これをスイス#10が拾い、即座にすぐ横を走る#19へパス。このパスはプジョルに当たりリフレクションして、ぎりぎり#19の足に当たる。カシージャスが飛び出し、#19と同時にボールに触れる。跳ねたボールは今度はピケに当たり再びリフレクション。このボールがスイス#16とピケの間でもつれる。2人とボールが一緒に転がりながら、結局ボールは転倒したピケの目の前に。ピケがどうしようもない状態のこのボールを#16がゴールに押し込む。なんで何度もリフレクションしたボールがその度、スイス・プレイヤーの目の前に出る? 完全な事故。

初戦の難しさか? ただ、気になったのは、スペインのフットボールがコンパクト‘過ぎる’のではないかということ。

コンパクトなフットボールは今や世界の目指すところ。オフェンス時のパスワーク、ディフェンス時のプレス、どちらもコンパクトな空間を要求する。この点、スペインは世界の頂点にある。とてつもなく狭い空間の中で細かいパスワークがなされ、プレスがかけられる。ほぼ全時間、スペインCBはセンターライン付近まで上がっており、つまりセンターラインとスイス・ペナルティ・エリア前までの縦幅の空間の中にゲームは圧縮されていた。しかも、スペインはその空間のとりわけセンターから左サイドを主要に使う。つまりシャビとイニエスタバルサ的空間。バレンシアの右SH・ダビド・シルバはいつの間にかセンターに入っており、レアルの右SB・セルヒオ・ラモスが1人孤立して左サイドを眺めているという映像、またレアルのシャビ・アロンソがスイス左SB裏をねらうロングパスを出すという映像・・・こうした映像がこのゲームの間何度反復されたろう? ピッチ全体からすると、1/2のさらに2/3―― この空間の中でゲームのほぼすべてが展開した。

確かにこれほどコンパクトな空間にゲームを閉じ込めることが出来るのはスペインだけだろう。しかし、あまりにコンパクトな空間の中でのパスワークはともすると一方で単調さをもたらし、他方で自らのプレスだけではなく敵のプレスをも容易にする。自己目的化したパスと、プレスとの馴れ合い。こんな風景、こんなスペインをかつても見た。ドイツ大会での若いスペイン。あの当時ですら、スペインは高速のパスワークではどこにも負けなかった。でも、決勝トーナメント初戦、フランスに負けた(http://d.hatena.ne.jp/Zephyrus/20060630/1151631437)。無論当時より、現在のスペインはさらに攻撃能力は向上しており、何しろ守備能力が格段に向上している。2006年と状況は同じではない。でも、 EURO2008優勝国・スペイン対策が向上しているのも事実。バルサも無敵と思えたが、バルサ対策を練りに練ったインテルに負けた。どうなるだろうか?