Uruguay vs Netherlands

Uruguay
* Diego FORLAN (41')
* Maximiliano PEREIRA (90'+2)
2:3 (1:1)
Netherlands
* Giovanni VAN BRONCKHORST (18')
* Wesley SNEIJDER (70')
* Arjen ROBBEN (73')
Match 61 - Semi-finals - 06 July
・下馬評通り、個人的にも予想通りの結末。今 WC、お気に入りのプレイヤー、フォルランラストゲームになるだろうと思っていた(http://d.hatena.ne.jp/Zephyrus/20100703)が、その通りになった。

・オランダは勝ったことは勝ったが、危うさを感じる要素が多かった。まずゲームの入り方がブラジル戦もそうだったが、どこかギクシャクしている。戦術的に、オランダが守備から入ろうとしていること、まず相手の攻撃を見極めてから徐々に攻撃に転じるというゲームプランを組んでいることは分かる。伝統的に延々と守備が破綻して負けてきたオランダを反省すれば当然のことなのだろう。しかし、ブラジル戦では飛ばすブラジルにこの段階でCBのど真ん中を破られて失点。このゲームでも、ボールを支配してはいるが、ウルグアイの運動量豊富な激しいプレスを受けてペースをつかめない。18分、ファン・ブロンクホルストの目が覚めるようなロングシュートが決まり、「さあ、これで、オランダがペースをつかむか」と思ったが、結局そうならず、逆に前半終了間際41分には、フォルランをフリーにしてミドルを決められてしまう。

・オランダの守備はまったく約束通りのゾーン・ディフェンス。このゲームでも、キープレイヤー、フォルランボランチ1 枚が張り付いてマンマークするなどということもない。まあ、ゾーンでフォルランにきっちりプレスをかけられればよいのだが、見ていると、オランダのゾーンディフェンスは中央から左サイドの間を自由に動くフォルランを完全に捕まえきれず、さほど特別なプレスがかかってもいない。その結果が41分、フリーの状態のフォルランにねらいすまして打たれたミドルによる失点である。もう一人もっと自由に動くスアレスがいたら、どうなっていたのだろう? 前半終了時、スアレスがいれば効果的なカウンターをもっと打てたのに、とタバレスは思ったことだろう。

・確かにフォルランマンマークなんかつければ、逆にそれを利用してスペースを作られてしまう可能性は上昇するが、スアレスがいないウルグアイであれば、リスク計算としてはフォルランにマークを貼り付けるという手もありなのではとも思われる。が、オランダはそんなこと夢にも思っていないようだ。オランダ人は、組織だったゾーン・ディフェンスこそ守備のあるべき姿にして王道、マンマークをつけるなんて邪道だと、もしかしたら思っているのだろうか? 今のオランダは最前線のFWファン・ペルシーであっても中盤で守備をするほど守備意識が高い。とはいえ、守備的なオランダはどこか借り物の衣装を着ている雰囲気が漂う。オランダの4DF+2ボランチの守備は能力的にどうにも頼りない。4-2-3-1の3、スナイデルロッベン、カイトの守備参加も足りない。守備的に入るなら‘能力からして’もっと4-5-1を意識すべきだろう。まあ、スナイデルロッベンに守備をしろと言うわけにもいかないのだろうが、カイトなどは立ち上がり時間帯だけでももっと守備をしてもいいと思う。せめて4-3-2-1にならないか。例えば、ドイツにブラジルと同じようにゲーム開始と同時に全開で飛ばされたら、この立ち上がりの‘守備的な’オランダはついて行けず、失点する可能性が高いと思う。

・オランダらしさが出るのは、後半頭、ボランチのデ・ゼーヴに代えてファン・デル・ファールトを投入してから。これでやっとオランダは借り物の衣装を脱ぐ。前半の常時4-2-3-1から攻撃時は4-1-4-1、アタッカーが1枚増える。前半2対1の局面を作って守ってきたウルグアイは、2対1を作っていては5人のオランダ・アタッカーをすべてフォローできない状態となって、これによってオランダの攻撃圧力は上昇。その上、さすがにウルグアイの運動量も落ちて、オランダの攻勢は決定的。で、69分、73分と立て続けに得点。

・ただ、言うまでもなく、このオランダが攻勢の時間帯、守備要員は基本的に DF4枚+ボランチ1枚の5枚。恐らく、ここでもフォルランが完調で、さらにスアレスがいれば、ウルグアイは効果的なカウンターを打つことが出来ただろう。オランダは最終盤失点し2-3とされてゲームは終わるが、「ベストのウルグアイであればさらにオランダを追い詰められたのに・・・」と多くの者が思ったのではなかろうか? 再びこれが相手がドイツだったら、と考えるとなかなか厳しいように思う。

・「苦手な守備をがんばってやるぞ、でも、できないものはできないわけで、しょうがないじゃん」という気持ちが見え隠れするオランダ。まったく、オランダのフットボールは面白い。守備的になって面白くないなどと言われてはいるが、そんなことはない。




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おまけ;準決勝第2試合スペインvsドイツ予想
EURO2008決勝の再現! ドイツがスペインのパスワークを‘90分’封じられるかどうか?、スペインがドイツのカウンターを封じられるかどうか? 下馬評的には2-1くらいのスコアでドイツ勝利なんだろうとは思う。けど、ドイツの対イングランド戦、対アルゼンチン戦の大勝はあまり参考にならないと思う。「相手が戦術的に敗北に突き進んだ」ってのが正しい戦評だと思う。いずれにせよ、勝って欲しいのはスペイン。ドイツのフットボールは理詰め過ぎてどうも好きじゃないんだよ。