日本-カタール(アジアカップ)

アジアカップ前、誰しも香川のパフォーマンスを期待していただろう。何しろ2010-11ブンデスリーガ前半戦 MVP(ファン投票MVPではなくプレイヤーが選ぶMVP)である。ところが、その香川がもう一つ乗れない。無得点の1次リーグは無論、カタール戦も日本の3得点すべてに絡んだが、その他の場面ではもう一つである。

理由ははっきりしている。1;ここまでの対戦チームがみな基本的に(日本もWCの時はお世話になった)ドン引き守備の9-1、もしくは8-2システムだから、である。まあ、これは仕方がない。問題なのは、2;チーム前目の運動量が少なく、プレイヤーが他のプレイヤーのためにスペースを作らないから、である。第3の動きなんてまるでなし。たえず2つのパスコース!、なんて夢。他のプレイヤーのためにスペースを作ることもなし。で、足下へのパスばかり。パスを受けてから出しどころを探す。

そもそもBVBでの香川は、ボランチ(シャヒン)や左右のSH(ゲッツェ、ブワシコフスキー)からの高速のパスを全速で走りながら合わせ、FW(バリオス) のポストプレーにこれまた全速で走りながら絡む存在。瞬間的に加速してスペースに走り込み、高速で走りながら高速のボールを処理できるということ、これこそ香川の才能であり、だから中盤から前に加速して出て行くスペースがない、ピンポイントの高速のパス供給がない、という状況では才能を発揮しようがない。しかし、これまでのゲームを見ていると、香川が動くべき場所を(香川を追い越して上がった)長友や(左に流れた)前田が占拠してしまっている。で、真ん中には本田が張り付いている。しかもこいつら、香川が動きやすいスペースを作るなんて微塵も考えていない(ように見える)。こりゃ動けるはずがない。香川は残り物みたいなスペースでおこぼれのボールを待っているとしか見えない。だから、吉田の退場で長友が守備に張り付き、前田がいなくなって前目3人となってから、俄然香川の縦への突破が目立つようになったのは偶然ではないのだ。香川にとっては本田より、長友、前田との連携が重要な意味を持っている。

恐らく韓国はこれまでの対戦国とは違い攻撃を仕掛けてくる。しかし、その分香川にはスペースが出来るはず。さすがに長友、前田との連携も多少はよくなってきていると思うし、ということは、これまでよりも期待はできるはず。

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しかし、今回の日本代表は香川よりも、さらに攻撃よりも実は守備が弱いことの方が問題。特にCB。GK川島も当たっていない。カタールの1点目なんて、カタールFW1人にCBとGKの2人が抜かれちゃってるんだから話にならない。韓国に勝つも負けるもひとえにCBとGKにかかっている。