喜多加美代「触法精神障害者の「責任」と「裁判を受ける権利」」

『概念分析の社会学』中、私の一番のfavorite論文。フーコーの以下の言葉を見て、この論文をふと思い出した。

ひとつの言説の一般的な根拠と、その言説の歴史的同一性の全体的形式を、理論的選択のなかに探そうとするのは不十分である。というのも、同一の選択が二つのタイプのディスクールのなかに現れるということがありえるし、ただひとつの言説でも幾つもの異なった選択を生みだしうるからである。諸々の意見の恒常的存在もそれらの意見間の葛藤の弁証法も言表の集合を個別化するために十分ではない。その個別化のためには、選択点の分布を見て取る必要があるし、すべての選択以前に、<戦略的可能性の場>を定義できるのでなければならない。