『心的概念の論理文法』

直接手渡されたMED氏の博論である。来週日曜日に検討会なので目を通す。すでに書いた論文を章単位にして上手に組み合わせたもので、彼の論文はほぼ初出時に読んでいるため、実質的に再読である。彼の論文はおおむね、まずポリシー部分が来て、ついでそのデモが来るという形式を取る。ポリシー部分については、私のように学部時代超越論哲学(の批判)から入った人間と違い、学部時代からウィトゲンシュタインを読んでいるキャリアが遺憾なく発揮され、恐らく現在EMの中で読める最良の論理的解明になっている。ちょっと真似ができない。

そのキレのよさに読み手はついそのポリシー部分中心に読んでしまうと思われるが、そして私もこれまで彼の論文に関してはポリシー部分中心に読んできたのだが、今回はデモ部分を丹念に読んでみた。…と、これが結構時間がかかる。彼ほどの人間が考えを集約してアウトプットしたデモである。そうそう簡単に評価できるものではない。彼が提示するトランスクリプトを彼の記述に従って読み、彼の思考を辿りつつ、他方で彼が指摘する記述のレリヴァンシーの妥当性を検討していると、なかなか先に進まない。半分ほど読んで一日が終わってしまった。残りは今週末にでも読もう。