6月15日 イングランド−トリニダードトバゴ

2−0。

イングランドは(予想通り)イギリスメディアに結構批判されたパラグアイ戦と同様、圧倒的にボールを支配しながら点を取れない。何でだろうと思いながら見ていた。

①やっぱりFWがダメ。オーウェンは完全に「消えている」。存在を忘れてしまう。クラウチは(先にも書いたが)やはり足下の技術がない。前半30分過ぎにベッカムからのクロスを完全フリーで受けながら、ボレーはとんでもない方向へ。ファンニステルローイやアンリが見せる飛んでくるボールを確実にコントロールする技術があれば、ボレーなど打たずトラップをしてから打っても間に合っただろうに。ベッカムは内心やれやれといった気持ちだろう。FWの得点はシュートを打つ前、トラップの段階で決まっていることが多いが、放り込む中盤が多数いるチームで、高速のボールを確実にコントロールできないクラウチは単なるデカイ標的でしかない。

②前線がダメだと敵の守備組織が崩れない。プレミアではランパード、ジェラードが多くの得点を上げているが、それは前線、あるいは中盤の選手ががんばって相手の守備組織を壊しているから。瞬間的にであれフリーでボールを持ちかつゴールまでのシュートコースが空いていることが当然ミドルが決まる条件だが、この条件をランパードの場合ではドログバクレスポ)、ロッベン、ジェラードの場合はシセ、ルイス・ガルシアシャビ・アロンソといったテクニシャンが作っている。この条件を作る人間いなければ、いくらランパード、ジェラードといえど、得点できるはずがない。(だから先に汗かき役がいなくていいのかと言ったわけで。)

③後半、エリクソンオーウェンルーニーに変え、さらに相手の守備を壊せるウィンガー的プレイヤーを投入した(そしてベッカムサイドバック位置に下げた)が、これは上の理由から理にかなっている。いっそのこと、イングランドは、ルーニーをセンターに、ジョー・コールとショーン・ライト-フィリップスのウィンガー(チェルシー・コンビ)という、オランダばりの3トップの方が良いのではないか?それで、中盤にベッカム、ジェラード、ランパード。つまり、4−3−3、あるいは4−3−2−1。うーん、この布陣でやってみたい。4−4−2だとジョー・コールなんか完全に死んでる。ジョー・コールのドリブルはもっとゴールに近い位置でなされてこそ脅威を与えられるわけで。モウリーニョとかが代表監督だったら絶対こうすると思うんだけどなあ。

④最後の15分にイングランドベッカムのクロスにクラウチが頭であわせて1点、ジェラードのミドルシュートで1点と2得点したが、これはエリクソンの選手交代が効き敵の守備組織を壊せるようになり、そして相手の運動量が落ちて、プレスが効かなくなり、シュートコースを消すことができなくなったため。プレスがかからない状態で打つベッカム、ジェラードのクロス、シュートは精度抜群、ほんとに威力がある。ただ、守備の堅い例えばイタリアのようなチームは、なかなかこんなフリーの状態を作ってくれない。初見参のルーニーはやっぱりまだ完調とは言えない動きだったし、やっぱり「優勝はちょっとなあ」って気がしてしまう。

⑤でも、こういうふうに欠点があって、観客がなんだかんだ、あーしろこーしろって言って楽しめるのも、イングランド代表が人気がある理由の一つなんだろうな。