6月12日 イタリア−ガーナ

2−0。好ゲーム。

まったくイタリアのフットボールは現代のフットボールはこうやるんだということの見本のようだ。まず、ネスタカンナバーロという鉄壁のCB。彼らは(3回目のWCだが)本当にミスというものをしない。ボールとゴールとの関係から指定されるポジショニングなど教科書を見ているようだ。その美しさに見とれてしまう。ゴールに向かうシュートの軌跡の美しさもフットボールの重要な要素だが、ポジショニングにも美しさは宿るのだとこの二人は言っているようだ。そして中盤での的確なプレッシングと流れるパスワークと目まぐるしいポジションチェンジ。精密な機械式腕時計の裏蓋をはずして中を覗いているよう。サッキ以来の現代フットボールは中盤のプレッシングこそその生命線だが、さすが本家本元。そして、攻撃となると、ミドル、ロングシュートを打つこともできる、スルーパスで裏をねらうこともできる、FWがドリブル突破もできる、サイドから正確なクロスを上げることもできる・・・要するにその場の状況次第で何でもできる。得点もピルロのミドルで一点、最前線での相手ミスに乗じた1点とイタリアらしいもの。そして失点は0。完璧。

しかし、ガーナのパフォーマンスは十分素晴らしいものだった。とりわけ中盤が非常に組織だっているのに驚いた。エシエンを筆頭にとんでもない体力でピッチ上を走り回り、素早いプレッシングとこまかいパスワークでイタリアに対抗し、中盤では互角に渡り合った。韓国がWC開催直前にガーナと親善試合をし3−1で完敗しているが、これが十部に納得がいくパフォーマンスを披露していた。ただ、ガーナは最終ラインが弱く(DFの人材が足りないようだった)、そしてとりわけ得点の方法論、技術を持っていなかった。これが敗因だろう。中盤の細かなパスワークは良くできていたが、それをそのままイタリアDFにぶつけるだけではイタリアDFを突破することはできない。