6月18日 フランスvs韓国 続

このゲームに関する朝日新聞の記事は本当にすごい。見出しは「韓流強攻 千金ドロー」、「仏『落日』後半防戦」である。記事はこんな調子。

…4年前の再現だ。声援に乗せられ、選手が躍動する。前半9分に先行されても、焦らない。初戦のトーゴ線で逆転勝ちした自信が後押しする。…猛攻を仕掛ける韓国に、フランスは徐々に受け身になる。…同点だ。…横の揺さぶりが功を奏した。…同点で満足しない。さらに攻勢を強め、DFの金東進までがドリブルで前線へ。すがすがしい積極策なのだ。(19日夕刊)

「猛攻」?よくもまあこんなことが書けるものだ。このゲームをおよそフットボールを多少とも見る目がある人間が見れば、韓国が手も足も出なかったのは一目瞭然の事実だというのに。朝日新聞は前回大会の時も韓国戦での異常としか言えないレフリングをまったく問題化せず、殺到した抗議に対してその弁明を出す羽目になったという経歴を持っているが、朝日新聞は‘韓国’という固有名にフットボール以上の価値を見いだしていると判断して間違いないようだ。それが単純に日韓友好という政治的価値なのかそれともそれ以外の価値なのかはどうでもいい。フットボールを何であれフットボールに外在する何かのために利用するな!私は別に嫌韓論者でもないし、むしろ日韓友好を多種多様に推進するべきだと思っている。しかし、そのような価値意識はフットボールと何も関係がない。ただ単純にフットボールの美しさ、素晴らしさを価値とすること、そしてこの価値においてのみフットボールを見ること、フットボールファンが望んでいるのはこれだけなのだ。この単純なことが理解できないメディア関係者、お前らはお願いだから黙っていてくれ。

しかし、私のような(韓国に対して良くも悪くもまったく思い入れのない)人間であっても、韓国のゲームのレフリングに関してはどうしてこうも不可解なレフリングがなされるのかと考えてしまう。前大会のスペイン戦、イタリア戦、そして今回のフランス戦。あまり憶測を書くべきではないのだろうが、ただ、前回大会の時トルシエが大会直前のインタビューで、日本はどこまで行けるかという質問に対して「日本は1次リーグを突破する実力はある。しかし、ベスト4などになる実力はない。日本がベスト4などになるということは世界のサッカーにとっていいことではない。日本はベスト4などになってはいけない」と言っていたことは事実なので指摘しておいてもいいだろう。私はそのとき「「なれない」じゃなくて『なってはいけない』???『なってはいけない』ってことは「‘その気になれば’なれる」ってことだぞ。何を言ってるんだ???通訳の問題か?日本はどうせがんばってもベスト4になんかなれやしないだろうに…」と思っていたのだが、大会が終わってみると韓国がぴったりベスト4。この奇妙な符号から多くを語るつもりはないが、少なくとも、トルシエが言いたかったことの最低限の意味は分かった気がした。恐らく、トルシエは、フットボールフットボールとは違う価値を重ね合わせて見ている人間がたくさんいるということを言いたかったのだろう。朝日新聞のやっていることなどまだかわいらしいことなのだ、きっと。韓国の次戦は1次リーグ突破がかかったvsスイス戦。フランスvsトーゴ戦も含め、おかしなレフリングがなされないことだけを祈りたい。