6月27日 スペインvsフランス

1−3。1次リーグのパフォーマンスからしてフランスに勝ち目はないだろうと思っていた。が、白熱の試合となった。

①フランスは間違いなくパフォーマンスが向上している。ジダンは運動量が落ちているので攻守に動き回ることはできない、ジダンは攻撃に専念し守備面は若手がフォローする――というような約束ができて、これが上手く機能した感がある。ジダンリケルメ的に使うというのは現在のフランスにとっては唯一の正解だろう。また、単調で中央突破になりがちだった攻撃はリベリーマルーダがサイド攻撃を積極的に行うことで打開。また、このサイド攻撃が有機的に機能しなかった韓国戦と比べて、リベリーマルーダをフォローする連係も向上していた。しかし、相変わらずアンリは上手く機能していない。アンリは裏への飛び出しを再三試みてスペインDFの脅威にはなっていたと思うが、パッサーとの呼吸がもう一つ合わず結局一度も成功しなかった。アンリにもう少し自由を与えて中盤から前線を好きに動けるようにした方がいいと思うのだが・・・。

②スペインは何しろその若さに驚く。(要所にベテランがいるとはいえ)平均年齢的に考えたら大学生チームではないか?現在U23代表(オリンピック)だったら無敵だろう。U23代表チームがフランスフル代表チームと互角に戦っているんだからすごいとしか言いようがない。4年後が楽しみ。あえて現在の不足分を言うとしたら、ゲームメーカーの不在だろうか?ハイスピードのパス回しとプレスは申し分ないのだが、ややもすると延々とそのペースで試合をしてしまう。ゲームを時間的空間的に見渡し攻撃の緩急をつけられるような人間が一人いれば、フランスのDFをもっと苦しめられたのではないか。スペインの攻撃は「急ぎすぎ」ている印象があった。現在のフットボールはますます色々なスピードが要求されるようになっている。ただ、それゆえ逆にスピーディなゲームの中で「時間を止めること」がますます重要にもなっている。例えば、2005-06チャンピオンズ・リーグの準決勝バルサvsミランの第一戦におけるジュリの得点シーンを思い出してみればよい。直前、ロナウジーニョガットゥーゾのフィジカルなプレスをはね返し、ガットゥーゾは逆に倒されてしまう。そのときロナウジーニョはほんの一瞬だが静止する!そして、その周辺にいた全員がロナウジーニョが次に何をするかと「見守ってしまう」。その全員が見るために止まってしまったその直後、ジュリがミランDFの裏へ走り出すのと同時にロナウジーニョは走り込む先に浮かし玉のパスを送り込み、そしてジュリはその弾むボールをボレーで決めるのである。驚異すべきは、ロナウジーニョのこの時間を止める能力である!時間を止め運動のない状態を作り出すことができるから、その前後のスピードがなおさら速度を感じるのである。これこそロナウジーニョの能力の核心だと私は考えている(同じ能力はアンリにも感じる)が、スペインはこのような能力を持った人間が残念ながらいなかった。やはり、若さゆえ、か?