6月30日 ドイツvsアルゼンチン

1−1(延長0−0)PK4−2。アルゼンチンには何とも悔いの残るゲームだ。ゲームはアルゼンチンのものだったのだから。

前半、開始直後こそドイツは得意の体当たり型のプレッシングで押してゆくが、15分過ぎ以降はアルゼンチンのゲーム。後半、アルゼンチンは前半の勢いそのままに開始直後の5分、リケルメフリーキックアジャラがクローゼのマンマークを振り切ってヘッディングしてゴール!この後20分頃から、ドイツがなりふり構わぬ攻撃に出る。ここから30分過ぎまで、アルゼンチンには試合を結局左右するいくつかの誤算とミスが集中する。

①ゴール前のごたごたの中でクローゼのヒザ蹴りがGKアボンダンシエリの脇腹にヒット!これでアボンダンシエリが負傷退場し、GKが控えのレオフランコに代わる。この時点で私は、日本vsオーストラリア戦後半の坪井の負傷退場を見たときと同じイヤーな感じがした。

②何より驚いたのは、もうすぐ後半30分になろうかというところで、リケルメカンビアッソに交代!TVを見ながら「なぜだ?」と叫んでしまった。本当になぜなのだろう、この交代は?ペケルマンが逃げ切りを考えたとしか思えない。確かにリケルメはこのゲームで(決定的なチャンスこそ作れなかったが)ドイツDFにとっては間違いなく脅威を与えていたではないか!しかし、守備には貢献しないリケルメを守備的なカンビアッソに代え、逃げ切りを図ったとしか思えない。

③さらに、ペケルマンリケルメの交代から数分後の30分過ぎにFWクレスポを長身のクルスに代える。これも分からない。確かにこの時間帯ドイツはゴールから20〜30Mの距離からペナルティエリアのFWに向けて放り込むというフィジカル頼み攻撃を延々と仕掛けてきていた(こんな単純なフィジカル頼みのフットボールばかりしていることがドイツフットボールブンデスリーガの地盤低下をもたらしているとはよく言われることだが、ドイツのゲームパターンは結局のところこれしかないんだからしょうがない)。ドイツのコーナーキック対策に長身のクルスを使おうとしたのかもしれない。また、クルスの長身を生かして攻撃の起点を作ろうと思ったのかもしれない。しかし、インテルの控えFWのクルスとクレスポではどちらがドイツにとって脅威だろうか?クレスポだろう。また、そもそもここまでアルゼンチンはこまかいパスワークで、足下のおぼつかないドイツDFを苦しめゲームを作ってきたのであって、フィジカルの勝負を意図的にしないことが重要だったはず。デカイがこまかい足技はないクルスの投入は、このポリシーに反するだろう。アルゼンチンがこまかい足技を捨て、ドイツ相手にフィジカルで勝負にいってどうするのか?激しく疑問だ。サビオラ、メッシを投入するべきだ。それがアルゼンチンフットボールの本来的姿ではないか?

④案の定、中盤のゲームメーカー;リケルメがいなくなり、アルゼンチンは中盤でボールをコントロールできなくなってしまう。こまかいパスを繋ぐことはもはやできず、クルスをめがけてボールを放り込んでは奪われるということをくり返す。しかも、フリーキックコーナーキックの名手でもあったリケルメがいないことで、もはやフリーキックコーナーキックも脅威を与えられない。逆に、これによって、脅威が大幅に低下したドイツは最終ラインを上げ、サイドバックが奥深くまで進入、さらに攻勢に出ることが可能に。そして、リケルメの交代から10分もたたずに、ドイツのバラックの放り込みにボロウスキー、クローゼが連続して反応してゴール。もうこの段階で私はアルゼンチンに勝利はないと思った。

それにしても悔やまれるのは、リケルメクレスポの交代だ。ペケルマンは何と弁明しているのだろう?優勝候補筆頭だったというのに…。