6月30日 イタリアvsウクライナ

3−0。イタリアの完勝。イタリアのゲーム運びのうまさとリッピの采配が際だったゲーム。

オーストラリアのヒディンクはイタリアは守備的過ぎると批判していたようだが、このウクライナ戦を見ると守備的であることがチームの明確な戦術であって、別にイタリアは押されて守備的になっているわけではないことがよく分かる。イタリアは立ち上がりからセンターラインを防御線に設定、中盤を完全に支配し5分過ぎにはザンブロッタのミドルで早々と得点する。と、とたんに、イタリアは防御線を自陣内に10Mほど下げ、守りを固めてしまう。いつものことだが、このイタリアの変わり身はいったいどうなっているのだろうと、つくづく不思議に思う。しかし、その変わり身の素早さからして、何かしらの戦術的な約束があると考えるしかないだろう。しかも、守備的とはいえ、チャンスと見るや敵陣深くでもプレスに行き、一気に得点に結びつけてしまうという約束もできている。いっくら批判者が守備的すぎるとか、面白味に欠けるとか何を言おうとイタリアは確信犯なんだからしょうがないでしょ。批判するのはイタリアに勝ってからにしろ、ってところである。

ここ数試合、このうような試合運びが目立っているが、恐らくこれはリッピが対戦相手そしてイタリアチームの現状からして最善と判断したその結果であろうと思われる。現在のイタリアはベストメンバーを組んだときのそのフットボールの質だけ見れば今大会一二を争うチームだと思うが、現在なにしろベストメンバーを組めない。トッティは病み上がりでゲーム体力不足、CBのネスタは古傷を再発、デロッシアメリカ戦のヒジ打ちで4試合出場停止、(ネスタの代わりにオーストラリア戦先発の)マテラッツィもレッドカードで出場停止、期待のFWジラルディーノ、トーニは不調で決定力が極端にダウン、(このチーム事情から)ゲームの中心とならざるを得ないピルロは連戦の疲労がたまって運動量が落ち気味――とはっきり言って普通のチームだったらゲームにならない状態である。この状態で勝つには守備的な戦い、省エネフットボールを選択するしかないではないか?他にどうできるというのか?言ってみろ、とリッピも言いたいところだろう。

この試合、トーニが2得点、終盤ガットゥーゾピルロを交代させ休ませることができ、かつベンチ選手を投入して試合に慣れさせることもできたのは好材料。リッピはすでに次戦を考えているのだろう。恐らく、再びリッピはフィジカル自慢のドイツに省エネフットボールを徹底してくるに違いない。だが、乗ってしまったドイツに対して現在のイタリアの戦力は、リッピをもってしても不安がつきまとうレベルではある。