7月1日 イングランドvsポルトガル

0−0(延長0−0)PK1−3。‘ついに’という感じでイングランドが負けた。

前半、両チームとも、敵陣10Mあたりを防御開始線に設定し最終ラインを極端に上げたとんでもなく攻撃的な布陣を採用。お互いにこの布陣の中で一進一退をくり返す。後半、開始直後、ベッカムが負傷しレノンに交代、そしてルーニーがリカルドカルバーニョの股間を審判の目の前で踏みつけレッドカード退場というゲームの趨勢を決定づける事件が連続。ただでさえ決定力のないイングランドは前線を動き回る人間も、飛び道具を使う人間も一挙に失ってしまう。エリクソンは中盤のジョー・コールを下げ前線にクラウチを入れ、専守防衛+カウンター狙いを目指すしかない。ただ一方、ポルトガルもデコを欠くせいか中盤でボールが落ち着かず単調な攻めに終始。結局両チームとも120分闘って無得点のすえ、PK戦で決着。

ルーニーの退場は8年前のベッカムの退場を思い出させる。肝心なところで短気を出してレッドカード、というのはイングランドお家芸

②予想通り、ランパード、ジェラードは無得点(しかもランパード、ジェラードはPKまでも外す始末)。攻撃では中盤の黄金の3人は最後まで機能しなかった。これは、(すでに指摘したが)いくらワールドクラスの選手と言えど同じような人間をそろえるだけでは攻撃は機能しないということに尽きていると思う。ベッカムの代わりに右サイド入ったレノン、そしてボランチハーグリーブスという、どちらかというと無名のプレイヤーの方がはるかに攻撃のチャンスを作り出していたのは皮肉としか言えない。ベカ男、ランパード、ジェラードの内同時に使うのはせいぜい二人に止め、レノン、ハーグリーブスのような足下の技術、走力、持久力に優れた人間で脇を固めるべきだった。この点、オーウェンルーニーの故障はエリクソンの大誤算だと思うが、国内の声に押されて3人を先発から外せないエリクソンの手腕も問われるべきではないか?しかし、無名の(と言うより、私が単に知らなかった)脇役であるレノン、ハーグリーブスの能力の高さを見て、私はイングランドの底力を見た気がした。

イングランドの攻撃は見るべきものがなかったが、守備に関してはランパード、ジェラードも含め圧倒的パフォーマンスを見せてくれた。後半から延長のおよそ50分ほど、ポルトガルの波状攻撃をしのぐイングランドDF陣の奮闘は賞賛に値するだろう。ポルトガルvsオランダ戦においてオランダが負けたのは(すでに指摘したが)このイングランド的なディフェンス能力の欠如のゆえだと確信させるものがあった。


ランパードのPK失敗を見て泣き出しそうなジェラードの顔が忘れられない。