イギリス雑感2

ロンドンは町並みが古い。というより、意図的に古い家を古いまま外見はきれいにして中身は新しくして人々は住んでいる。石造りの家だから耐用年数が長いのだろう。改修ではエアコンなどどうするのだろうと思ってしまうが、聞くと結構多くの家は暖房しか入っていないとのこと。近年はヨーロッパでも猛暑らしいので夏はどうするんだろうと思うが、そんなことはたまのことと気にとめていないらしい。確かに日本でも北海道に行くとエアコンのない家とか車があったりするから、当然と言えば当然か。

もう一つロンドンの町並みで気付くのは、北部の新興高級住宅地などを除いて家に車庫がないこと。車の普及以前の古い町並みなのでしょうがないのだろう。でも現代では車はやはり必需品。どうするかというと、家の周囲の街路に路駐する。交通当局が住人に対して道路の駐車許可を出しているらしく、フロントウィンドウにそれらしきステッカーが貼ってある車が2車線道路の1車線をぎっちりと隙間もないほど完全に占拠している。こりゃ縦列駐車が上手くなるだろうとは思うが、明らかに縦列駐車に失敗した痕跡を残している車もたくさんある。

おもしろいのは、この事情が、高級住宅地として有名なケンジントンあたりでもかわらないこと。家の敷地内に車がおいてある家はごくごく少数。だから、ケンジントン界隈を歩くと、超高級車が延々と路駐するという日本ではまずお目にかかれない光景に出くわす。1000万円台のベンツ、BMWアウディ、ポルシェはもちろん、中にはアストン・マーチンのフラッグシップであるヴァンキッシュフェラーリの最高級4シーター・クーペのスカリエッティといった3000万円近くする車が平然と路駐している。少し前、「日本ではベンツ、BMWを雨ざらしの駐車場に置いているが信じられない、ドイツではこのような車は屋根付きの駐車場に置かれる車だ」などと訳知り顔で語る自動車評論家がいたが、このロンドンの路駐の有様を見せてやりたいものだ。

 路駐するアストン・マーチン、ヴァンキッシュ