コンフェデ戦記1

15/06 16:00 Brasilia
Brazil vs Japan
3:0 (1:0)
NEYMAR (3')
PAULINHO (48')
JO (90'+3)

前半
なぜ4-4-2なのか?――前半の疑問はこれに尽きる。
整列したスタメン、前目4人、本田、岡崎、清武、香川を見たとき、0トップ、あるいは岡崎の1トップかと思った。しかし、実際のゲームを見ると、どう見ても岡崎、本田の2トップ。

信じがたいことだが、日本は格上の強豪ブラジルの4-2-3-1に対して、4-4-2で闘っていた! つまり、ブラジルの中盤の強力な5人(ネイマール+オスカル+フッキ+ルイス・グスタボ+パウリーニョ)に対して日本は4人(香川+遠藤+長谷部+清武)。しかも、4人の内サイド2人は攻撃的MFで、DF能力に問題を抱える香川と清武。しかも、チームのサイドはネイマール+マルセロに対して清武+内田、フッキ+ダニ・アウベスに対して香川+長友。これでは、内田、長友の攻撃参加も期待できない。

で、日本は、選手間の距離が離れる→パスを回すことができない/ボールロストが多い→リズムを作れない→となって、得意であるべき中盤をまったく作れない羽目になってしまった。水を運べたのは実質、香川だけではなかったか? ブラジルの技術に対抗できていたのは香川だけだった。

ゲームを見ていると、もう圧倒的に日本の中盤が守備も攻撃もすかすかに見えるが、これは単に遠藤+長谷部vsパウリーニョ+ルイス・グスタボボランチ能力で遠藤、長谷部が劣っていたということだけではない(それもあるけど)。単純な枚数の問題として当たり前なのだ。

しかし、それでも、日本は前半、ネイマールのスーパーシュートの1失点に抑えたのだから、よくやったと言うべきなのだろう。あるいは、ブラジルは(言われるほど)強いというわけではない、あるいはまだ本調子ではない(組織的に攻撃できていない)と言うべきなのだろう。日本がとてつもなく弱く、ブラジルがとてつもなく強い(長友は「中学生とプロの差」と言ったらしいが)という評価は正当なものではない。

後半
絶対にザックはシステムを変更するだろうと思った。が、変更なし。それはないだろうと思っている間もなく、再び失点。出鼻挫かれまくり。

前半3分の失点はマルセロからのアーリークロスが起点、今度は逆にダニ・アウベスからのアーリークロスが起点。まるっきりデジャビュ。しかも、今度は両SBが攻撃参加し、CF1枚+MF3枚+ボランチ1枚のなんと5枚にボックス内に侵入される始末。日本はと言えば、SHの香川と清武はブラジルの両SBを牽制、遠藤はバイタル付近をケア、DF4枚+長谷部がボックス内で守備、岡崎、本田はセンターサークル付近を歩いている。つまり、前半あれだけ中盤の枚数が足りなかったにも関わらず、まだ同じ4-4-2。どうなっているのだろうか?

この2失点目でようやく、ザックは清武に代えて前田を投入する。これで、4-2-3-1に移行するのかと思ったら、そうならない。メンツ的には4-2-3-1なのだが、相変わらず、本田は前線を歩いている。むしろ前田の方が一生懸命走って守備をしているくらい。中盤が機能しないのは相変わらず。

この段階でやっと、遅まきながら、問題はシステムのそれではなく、本田のそれだと気づいた。で、このあと、本田ばかり見ていたのだが、本田がこの後、ボランチ位置まで戻ってパスを受けたのは1回しかないし、全速で20m走ったのも1回しかない。うつむいて首を振っている。本田がコンディション不良なのは明らかだった。

ザックが本田を見限るのは40分過ぎ。しかし、もう時すでに遅し。ザックはベンチに下がる本田と握手もせず、本田は悔しいとも何ともつかない微妙な表情。

恐らく、前田を入れた段階で、同時に本田を憲剛に代えるべきだった。コンディション不良の本田でも憲剛よりは上とザックは思ったのだろうか? ゲーム後岡崎は自分が1トップだったと言っているが、ザックは本田にどういう指示を出していたのだろうか?




単に大敗したからではなく、不完全燃焼感が漂うまったく後味の悪いゲームだった。