コンフェデ戦記3

19/06 19:00 Recife
Italy 4:3 (1:2) Japan

Daniele DE ROSSI (41')
Atsuto UCHIDA (50' OG)
Mario BALOTELLI (52' PEN)
Sebastian GIOVINCO (86')
    Keisuke HONDA (21' PEN)
    Shinji KAGAWA (33')
    Shinji OKAZAKI (69')


点がばんばん入るゲームというのは締まりのないゲームというのが通り相場だが、日本とイタリアの情熱が伝わり、サッカーの持つ純粋な喜びが詰まった好ゲームだった。


☆゜。*.★゜。*.☆゜。*.★゜。*.☆゜。*.★゜。*.


ゲーム序盤30分まで
Top3枚を攻撃専従とするような前がかりの4-3-3で入ったイタリアは、やはり日本をなめていたのだろうと思う。これに対して、日本は本来の4-2-3-1。強力なFWがいない日本の4-2-3-1は実質False9に前田を置く0Top(だから4-2-4と言うべきと思う)。で、4(前田、岡崎、香川、本田)対3(モントリーボデロッシピルロ)と枚数的に、しかも特に香川を軸とするコンビネーションが切れまくって、しかもイタリアの露骨な足の重さもあって(中二日で高温高湿のピッチコンディションはさぞつらかっただろう)、中盤前目を制圧、ボランチ長谷部、遠藤までが攻撃参加する始末。この状況で日本は2点Get。

開始0’       
              ○Kawashima
       ○Yoshida    ○Konno   
○Uchida        ●Balotelli     ○Nagatomo
   ●Giaccherini            ● Aquilani
       ○Hasebe       ○Endo
      ●Montolivo ○Honda    ●deRossi
  ○Okazaki     ●Pirlo      ○Kagawa
 ●deSciglio      ○Maeda       ●Maggio
       ●Chiellini      ●Barzagli     
               ●Buffon

ゲーム中盤30分から
日本による中盤制圧状況を見て、プランデッリは守備固めを即座に行う。30分、ターゲットを見失ってフラフラしているアクイラーニジョビンコに。これがメッセージとなって守備が安定するところがイタリアのすごいところと言うべきなのだろう。これ以後日本は流れの中から得点できなくなってしまう。そして、前半セットプレーから巧妙に1点、後半頭に、前がかりになっている日本の非力なDFの隙を突いて1点(吉田は対イラク戦といい1対1で抜かれて失点する場面がここのところ続いている。迷惑をかけたと泣いたのも仕方がない)、さらに長谷部のハンド→PKでさらに1点(このPKは恐らく、ハーフタイムに前半のブッフォンのファール→PKの映像を見た審判が誤審を認め、その補償をしたものだろう)と、日本を逆転。この段階で、プランデッリはさらに守備固めに入る。香川にいいようにやられていたマッジョアバーテに、3Top左で先発したジャッケリーニマルキージオに代えて完全に守備的4-4-2のカテナチオ

カテナチオ・イタリア68’
              ○Kawashima
       ○Yoshida    ○Konno   
○Uchida        ●Balotelli     ○Nagatomo
                ●Giovinco
       ○Hasebe       ○Endo
  ●Marchisio     ○Honda     ●deRossi
 ○Okazaki   ●Montolivo    ●Pirlo  ○Kagawa
 ●deSciglio       ○Maeda      ●Abate
        ●Chiellini     ●Barzagli     
               ●Buffon

ゲーム終盤70分から
プランデッリの誤算は、68分マルキージオ投入で逃げ切りを図った直後の69分、遠藤のフリーキックを岡崎にあわせられて失点したこと。もう交代枠3人は使い切っている。慌てたことだろう。だが、イタリア・カテナチオを崩す策が日本にはなかった。ザックは10分待った。が、カテナチオにはね返され続けるのみ。で、70分前田に代えてハーフナー投入。73分内田に代えて酒井投入。ザックはハーフナーの技術云々ではなく、単にハーフナーへの放り込みによるイタリアDFの混乱を狙ったのだろうが、全然奏功しない。この時間帯のプランデッリとザックの心中を思うと胃が痛くなりそうだ。これまた恐らくだが、ハーフナー投入後10分を経過した80分台、両監督ともドローを覚悟したと思う。しかし、ゲーム終了直前86分、再び日本のお粗末な守備からイタリアが望外の得点。ザックの絶望感はどれほどだったろう。心底同情する。ザックの最終盤の采配(交替)批判する者がいるが、はたして何ができたというのか? 采配がどうのこうのの問題ではない。そもそも、ベンチに座っているサブのクオリティーが日本は低すぎる。確かに、イタリアDFを手玉にとってMan. utdにいることの正当性を証明した香川、イタリアのDFが捕まえようにも捕まえることができなかった本田の他、岡崎、長谷部、遠藤、内田、長友にしろ、自らのClassを示したが、このスタメン11人と同列の力を持ち、流れを変え攻撃を活性化できるスーパーサブがどこにいるか? 乾、清武は香川の縮小コピー。憲剛は本田の縮小コピー。誰を使えというのか? 人がいないので、なんとかシステム変更で打開、対処しようとして、3-4-3を何度試してもダメ。どうしろというのか? 無い物ねだりもいい加減にしろと言いたい。むしろ、「ザッケローニさん、日本は発展途上のこんなレベルの国ですが、一生懸命がんばってくれてありがとう」と言うべきだ。ベンチに座る人間がビッグクラブのスタメンばかりというスペインは別格として、ベンチに座る人間がユーベ、ミラン所属というイタリアと同じように、日本を考えてはいけない。結局、日本は固定されたシステムで動くスタメンのレベルではかなりイタリアに肉薄したが、サブを活用してシステムをゲーム内で変更できるというチームの総合力ではまだまだイタリアに太刀打ちできない。昨年10月の対ブラジル親善試合は好ゲームをしながら4-0で負けた日本が、同じような好ゲームを再び演じ、しかも今回は30分ほどではあるがイタリアを圧倒して3点取ったのだから、収穫はあったと認めるべきだろう。

前がかりの日本79’
              ○Kawashima
       ○Yoshida    ○Konno   
             ●Balotelli   
 ○Sakai          ●Giovinco   ○Nagatomo
       ○Hasebe       ○Endo
  ●Marchisio      ○Honda      ●deRossi
  ○Okazaki  ●Montolivo   ●Pirlo   ○Kagawa
 ●deSciglio      ○Havenaar      ●Abate
         ●Chiellini    ●Barzagli     
               ●Buffon


☆゜。*.★゜。*.☆゜。*.★゜。*.☆゜。*.★゜。*.


恐らく、ザックは日本の定番スタメン4-2-3-1で行けばこの程度のことはできると思っていたはず。だが、そうだとすると、初戦対ブラジル戦のあのスタメン、あのシステムは何だったんだろう? ぶっつけ本番の新システムで何をトライしようとしたのだろう?