耳の痛い話

日本経済新聞からこの1週間の言葉ピックアップ。


1月9日(月)「実は研究不正大国」;日本の学術研究の低落について

世界中の研究論文の撤回状況を監視するウェブサイト「リトラクション・ウオッチ」には、撤回本数の多い研究者のワースト10に日本から2人が名を連ねる。・・・「研究室がブラック企業のようになり、不正の温床になっている」。・・・04年度の国立犬学法人化以降は、基礎研究を支える運営費交付金が減少。研究室を構える教授らが、公募後に審査して配分される競争的資金の獲得に追われる一方、雇用が不安定な若い研究者らは短期的な成果を求めるようになった。

あなた、耳が痛いでしょう?


1月12日(木)エマニュエル・トッド「新たな保護主義の時代に」;世界経済の行方について

重要なのは格差が生まれる仕組みではなく、先進国が格差を受け入れた点だ。どうして先進国は自由貿易に扉を開いたのか。私は経営者などのビジネス人ではなく、教育階層に問題があると思う。大学と結びついた理論家が格差拡大につながる議論を主導した。

格差拡大は経営者の強欲にあるとして自己批判しない大学知識人(例えば昨年8月9日(水)日経掲載の岩井克人の議論を見よ)には、耳が痛い。


1月12日(木)「説得力に欠ける『一代限り』」;天皇退位有識者会議について

「存在するだけで何もしなくてもいい」という天皇観は、こうした天皇の克己の歴史への理解不足によるものだろう。//ただ、天皇のあり方についてどのような意見を表明しようと言論は自由である。問題は退位を論じる政府機関の有識者会議のヒアリングに、適任とは言い難い"専門家"も招いたことだ。人選は選ぷ側のレベルも表す。これからの時代を担う若い世代と女性の研究者の意見が聞かれることはなかった。

その場の雰囲気に合わせた話をする能力(空気読み能力)だけの「専門家」には、耳が痛い。