内井惣七『科学哲学入門』continued

昨日に引き続いて読む。内井さん、その情報処理能力の高さは察せられるし優秀なのだと思う。しかし、どうにも文章が単調である。例えば、ベーコンから始まってニュートンハーシェル、ミル、ヒューエル…といった具合に帰納概念の歴史を通観してゆくとき、確かに一概に帰納と言ってもいろいろある、我々は現代的視点でつい帰納を考えてしまっているということがわかる…のだが、どうにも単調である。何がポイントなのかを事前に示すとか、その差異がどうして重要なのかを示すとか、その科学哲学史上の意義は何なのか明示するとか、してもらえればいいのだが、ニュートンではこうだった、ハーシェルではこうだった、ミルでは…と列挙されるだけだとぜんぜん頭に入ってこない。おそらく玄人好みのポイントを突いて議論を展開しているのだろうとは思うが、素人にはそのポイントが見えない。いつの間にか目だけが活字を追っている状態である。

特に19世紀の科学史、科学哲学史の常識は知っておかねばと思い読み始めたのだが、もうだめである。この本に関わっていると時間がかかってしょうがない。後で再読しよう。