概念分析
概念分析の実行は、何かあるビジョンを持ちそれに向けて思考を組織してゆく作業というよりも、むしろ、すでに存在する多種多様な欠陥のある分析手法、方法論を反面教師に、「こう考えてはならない」という具合に思考を組織してゆく作業であるような気がする。
だから、こんな警句を山のように頭に収めておかねばならない。
すでに言われたことの大きな堆積のうちに後のテキストと「あらかじめ」相似するテキストを探し求めること、歴史を通じて予想や反響の働きを探しまわり見出そうとすること、最初の萌芽まで遡り、あるいは最後の痕跡まで降り下ること、一つの作品についてそれの伝統への忠実さや還元しがたい独自性の部分を次々に際立たせること、その創始性の基準線を高くし、あるいは低くすること、ポール・ロワイヤルの文法家たちは何一つ新しく案出しなかったと言うこと、あるいはキュヴィユが人々が考えていた以上に多くの先駆者を有していたのをあぱくこと、これらは幼稚な歴史家たちの、気持はわかるが時代遅れの慰みである。
(Foucault)