少子化対策

少子化対策を論ずる論文を読んでいると、驚かされる文章に時々出くわす。例えば、最近読んだ論文には次のような一節があった。

同棲や結婚外出産が少子化を生むという理論的根拠もない。同棲でも長期のいわゆる事実婚なら子供を産んで家族を形成する傾向は大きいし、結婚外出産の増加は、貧困のもとに育つ子供の増大など大きな社会コストを生み出すので望ましい結果ではないが、当然出生率低下にはむしろ歯止めをかける方向に働くであろう。

筆者はあくまで「理論的」に婚外子出生率低下をもたらすということを否定し、むしろ逆だと言いたいのであろう。しかし、その中に現れる、婚外子の増加は「大きな社会コストを生み出すので望ましい結果ではない」という記述は違和感を与えざるを得ないだろう。それは、戦前日本の人口増大政策を語る論文に現れる記述とそっくりである。

社会的コストを払ってでも婚外子が貧困のもとに育たなくてすむようにするのが政治というものではないか、形式を問わず子供を持つことを(持たないことも)選択した個人を支援するのが政治というものではないか、という疑問が少しでも頭に浮かべば、これほどストレートに「望ましい結果ではない」と言うことは出来ないだろう。

きっと、筆者が言う「理論」には、政策決定を吟味する様々な分析は入っていないのだろう。





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