ケブルス+フード編著『ヒト遺伝子の聖杯』

石浦章一+丸山敬訳、アグネ承風社、1997年

随分前読んでいたが訳がどうしようもないので、かつ信じがたいことに脚注を訳出していないので、原著を手に入れ気になる章を再読。やはり個人的には、遺伝学の展開、ヒトゲノム計画が「(ヒトの)正常」という概念を曖昧にしたまま、というよりその日常的概念に依拠する形で、展開されていることを語るケラーの第13章「生得と習得、そしてヒトゲノム計画」が面白かった。ツッコミ不足の感はあるが、末尾にハッキングの引用もあって(ただし脚注を訳出していないので邦訳からは引用文献が分からない!)、ハッキングを相当意識しているのは間違いない。